検証-立憲民主党は「野党共闘によって負けた」のか

衆議院選挙が終わり、自民党と公明党が「絶対的安定多数」を超える261議席を獲得した。
一方の野党は、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の4党が「市民連合」との政策協定を締結して、候補者調整を行ったが、立憲民主党と共産党はともに議席を減らす結果となった。このことについて、「野党共闘は失敗だった」という論調がネットを中心に目立つ。
そこで、本記事では、この「野党共闘」が選挙結果にどのような影響をもたらしたのかを、データから明らかにすることで、立憲民主党は「野党共闘によって負けた」のかを検証する。
(共産党は野党共闘によって大幅に小選挙区の候補者を降ろしているのだから「野党共闘」によって共産党が議席を減らすのは当然の帰結とも言える。そこで、本稿では検討の対象を立憲民主党に絞ることとする)

なお、個別の選挙区での勝因分析については例えば以下の記事で個別に分析を進めることとするので参照されたい。

  1. 野党共闘とは
  2. 検証1 -野党共闘で立憲の比例得票総数は増えた
  3. 検証2 -選挙区で何が起きていたのか
  4. 検証3 -政党の側の感触
  5. 小括

1. 野党共闘とは

2. 検証1 -野党共闘による得票数の変化

まずは、こちらの表をご覧いただきたい。(出典:twitter @XXXX)

過去の選挙からの比例得票状況の推移
野党共闘による得票数の推移

衆院選における初めての「野党共闘」(この場合は単に選挙区での候補者の一本化を指す)が行われたのは2017年の衆院選である。
このときの立憲民主党の比例得票数は約1108万票(比例当選者数は全国でXX名)であった。

これに対して、今回(2021年)における立憲民主党の比例得票総数は約1149万票である。ここから、立憲民主党は今回の野党共闘によって比例票を40万票以上伸ばしていることがわかる。

以上から、立憲民主党が「野党共闘によって負けた」という言説は、少なくとも少なくとも比例区においては成立しないということになる。

では、小選挙区ではどうか。

立憲民主党が2017年衆院選で擁立した小選挙区の候補者は全国でXX名。そのうちXX名が小選挙区で当選した。(XX%)

これに対して、今回(2021年)の衆院選で立憲民主党が擁立した小選挙区の候補者は216名であった。そのうち小選挙区で当選したのは57名。(XX%)

以上から、立憲民主党が

5. 小括 -そもそも野党は負けたのか

なお、立憲民主党が議席減少によって「敗北」したと捉えること自体が的を外したものであるとする以下の論拠も紹介しておく。

こちらの動画の冒頭20分くらいで、野間と安田の両氏は、以下の点を明らかにしている。

  • 7.05付近 過去10年の総選挙で野党は議席を減らしていない
  • 7.42付近 立憲は今回105議席から96議席に減らしたが105議席のうち50議席は2017年総選挙で「希望の党」で当選した議員だった。そして、「希望」の党
  • 維新は前回選挙から4倍に増やしたので「大躍進」と言われているが、2012年総選挙では今回の獲得議席(41議席)よりも多い54議席を獲得していた。